型式 | DBA-GRS214-AEZXH |
排気量 | 3.5リッター |
最高出力 | 315ps/6400rpm |
最大トルク | 38.4kgm/4800rpm |
車両本体価格 | 497万円(税込) |
試乗日 | 2013年1月20日 |
2012年12月にフルモデルチェンジした、
クラウンのアスリートに試乗した。
以下に、率直なインプレッションを述べる。
ただし、先に「2.5アスリート」に試乗済みのため、
ここでは2.5アスリートとの差分についてのみ言及する。
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【動力性能】・・・★★★★☆
平地での加速においても、2.5リッターと比べると明確にトルク感の
違いを感じられる。坂道ではなおさらだ。
排気量の差があるだけでなく、2.5のレギュラー仕様に対しこちらは
ハイオク仕様であることも、さらに力強さの差を感じる要因に
なっていると思われる。
そして、3.5アスリートSと2.5アスリートの違いは、エンジンの
違いだけではない。
2.5は従来通りの6速ATだが、3.5には8速ATが採用されている。
新型GSで採用が見送られた8速ATをクラウンに採用するとは。
おとなしく6速ATにしときゃあ、GS買いに来た客に、
「クラウンは8速なのに、
なんでクラウンより高いGSが6速なんだよ」
などとゴネられずにすむのに。。。
また中途半端なことして面倒の種を作っちゃいましたね。(^o^;
まぁそれはともかく、注目の8速ATの感触を注意深く味わってみた。
結論から言うと、思ってたほどの感動はなかった。
スムーズでなめらかだし、よく出来たATだと思いますよ、
思いますけど、街乗りの速度域ではその良さがわかりにくい。
特に低速域では、アクセルを踏み込んだ時のダイレクト感が薄い。
同じ8速ATでも、BMWの8速ATは街乗りの速度域でもその特徴を
強く感じられ、空転感が少なく、低速域からダイレクト感のある感触で
気持ち良かったが、今回のクラウンの8速ATではそういった感触を
得ることができなかった。
まぁでも、それはビーエムの8速ATと比べれば物足りないと
感じるだけであって、通常のATとして考えれば非常に優秀なATと
言えるレベルにある。
というわけで、せっかくの8速ATとの組み合わせだったが、
街中での試乗では特にその恩恵を感じることはなく、
6速だった先代の3.5アスリートと同様の動力性能だった。
【乗り心地】・・・★★★★☆
実はこの3.5アスリートSの試乗に際しては、試乗車がいつもの
ディーラーに無かったため、ちょっと遠方まで遠征して試乗した。
なので、いつも試乗で通っている道とは異なる道での評価なので、
少し公平性を欠いている可能性があることをあらかじめお伝えしておく。
試乗コースには、あまり長く続くような悪路は無かったのだが、
それでも何か所かは段差のある個所があった。
そこを通ったときの感触から察するに、乗り心地に関しては
2.5アスリートとほとんど差はなさそうだ。
2.5アスリートが17インチのホイールをはいているのに対し、
3.5アスリートSは18インチとなるが、特に突き上げの強さなどは
感じなかった。
【居住性】・・・★★★★☆
2.5アスリートと同じ。
【静粛性】・・・★★★★★
2.5アスリートと同じ。
ちなみに、2.5アスリートでがっかりした「エンジン音の音質」だが、
こちら3.5アスリートSでも全くと言っていいほど同じ音だった。
「走る気」にさせない残念な音だ。(-_-)
【内装質感】・・・★★★★★
2.5アスリートと同じ。
【装備】・・・★★★☆☆
3.5リッターモデルには、3.5アスリートSと3.5アスリートGの
2種類しかない。そういう意味でも、やはり「S」グレードが、
今回の新型クラウンの本当の意味でのベースグレードと言えるだろう。
(なので、先代のベースグレードだった2.5アスリートと
今回の新型2.5アスリートは対等な関係ではなく、
新型の2.5アスリートは明らかな超絶廉価版グレードだ)
というわけで、「S」グレードなら何とか4つ★は与えられるんじゃ
ないかと思って装備をチェックしてみたのだが、それでも評価は
3つ★どまりだ。
まず、先代(初期型)では標準装備だった装備が、
今回はいくつか、いや、いくつも省かれてしまっている。
以下の装備が新型で省かれてしまった装備だ。
・インテリジェントAFS
・ナビ協調機能付き減衰力制御サスペンション(段差学習)
・イージークローザー(フロント/リヤ/ラゲージ)
・ドアミラーのリバース連動機能
・自動防眩インナーミラー
・エアコンの排出ガス検知式内外気自動切替システム
・オートワイパー(雨滴感応式)
ここまで装備を落とされてしまっては、もはやあきれる他ない。
「プレミアム」な存在だったはずの、クラウンの3.5リッターモデルが
この装備内容ですからね。ホント、がっかりだ。。。(-_-)
【カーステ音質】・・・★★★★★(ただしオプション)
今回試乗した試乗車には、16スピーカーを搭載する、オプションの
「トヨタ プレミアムサウンドシステム」が装備されていた。
いつも音質チェック用に使用しているCDをかけてみたが、
これが想像以上に素晴らしい音質!
低音は、ただドスドスいうだけの下品な安物オーディオとは異なり、
迫力がありながらも上品な音質!
高音もすごく繊細に再生されており、音がフェードアウトしていく
その先の先まで研ぎ澄ましたような澄んだ音で再生されていた!
そして、音の広がり感、臨場感も格別!
これは天井にまで埋め込まれたスピーカーが効いているのか、
とにかく今まで体験したことのない感覚だった。
これは俺様が過去に聴いたカーオーディオの中でも最高と言って
間違いない。文句なしの5つ★だ。
もし新型クラウンを買うのなら、このオプションは絶対につけるべき。
これは価値ありますよ!
【総評】・・・★☆☆☆☆
結局、感動できたのはオプションのオーディオの音質だけだった。
期待の8速ATも、街乗りでは宝の持ち腐れ。
よほど高速道路ばかり走る人でない限り、その良さを感じるシーンは
ほとんどない。街乗りなら6速ATとほぼ変わりなしだ。
装備は何度も言うように、先代よりも明らかに劣っている。
新型で落とされた装備の数がハンパない。
というわけで、先代よりも明確によくなったと実感できるのは
内装の質感くらいで、あとは先代と同レベルかそれ以下というありさま。
2.5アスリートの試乗記でも書いたが、こんな新型買うくらいなら、
中古で程度のいい先代(初期型)を探したほうが絶対にいい。
今回の新型クラウンは、そのフロントグリルのインパクトや、
ハイブリッドを主力グレードにするなど、大きく変わったような
印象を世間に与えていると思うが、実はよーく評価してみると、
悪いほうに変わったところのほうが多いという、
「とんでもない新型」だということがわかってくる。
これが黙ってても売れるクルマの怠慢、というやつだろうか?
とにかく、ここまでわかりやすいコストダウンは久々に見た。
あのインパクトのあるフロントグリルや、「ピンククラウン」は、
細かい内容に目が行かないように人々の注意をそらすための
作戦なのではないか、とまで勘ぐってしまう。
「それでも新型がいい!」という人は買ってあげて下さい。
俺にはとても買えません。こんな人を小バカにしたような新型は。(-_-)
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→ 試乗記の目次
http://aboutcars.blog89.fc2.com/blog-entry-63.html【試乗記】 トヨタ クラウン 3.5アスリートS
テーマ:インプレッション - ジャンル:車・バイク
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