型式 | DBA-Y51 |
排気量 | 2.5リッター |
最高出力 | 225ps/6400rpm |
最大トルク | 26.3kgm/4800rpm |
車両本体価格 | 427.35万円(税込) |
試乗日 | 2009年11月29日 |
11月にフルモデルチェンジしたばかりのフーガに試乗した。
以下に、率直なインプレッションを述べる。
●関連記事
・日産 フーガ モデルチェンジ情報
・【試乗記】 日産 フーガ 370GT
・【試乗記】 日産 フーガ ハイブリッド VIPパッケージ
【動力性能】・・・★★★★☆
車重が結構あるので、2.5リッターでは多少しんどいのかなぁ
と思っていたが、ぜんぜんそんなことはなかった。
そこそこ急な上り坂で急加速を試したみたが、アクセルワークに
俊敏に反応し、楽々と加速していったので驚いたくらいだ。
発進から軽快にエンジンが回るし、7速ATとの組み合わせも
いい感じにマッチしているので、動力性能で不足を感じるシーンは
まず無いと言っていいだろう。
ただ、1つ苦言を言わせてもらうならば、エンジン音に重厚感が無い。
軽快に吹けるのは良いが、音まで軽いのはいかがなものか。
以前、新型のティアナに暇つぶしで少し試乗したことがあったが、
そのとき感じた印象とよく似た印象を持った。
よく回ってよく走るエンジン、それはそれでクルマに要求される
要素を満たした優秀なエンジンであるのかもしれないが、
やはりこのクラスのクルマには、プラスαの質感が欲しいところだ。
ティアナだったら誉めてやるが、今後の日産のフラッグシップという
ポジションを担う車種「フーガ」であることを考えると、エンジン音の
重厚感の無さは実に残念なところだ。
【乗り心地】・・・★★★★☆
これは素晴らしく良くなった!
先代のフーガは「走り重視」の方向に振りすぎていた感があり、
上級セダンとしては乗り心地が硬すぎるという印象があったが、
新型ではそれが格段に改善されている。
エンジンが軽快に回るので、フリクション感や振動が少ないことも
影響しているのかもしれないが、とにかく走り出した瞬間に
「なめらか」という印象を持った。
一方で、カーブを曲がったときの初期ロールは、先代のフーガよりも
大きめに感じた。
しかし、それはロールし始めの時だけで、そこから先はしっかりと
踏ん張ってくれるので全く問題ない。
決してフワフワではなく硬すぎない、かなり絶妙なところをついた
セッティングだと思う。
ではなぜ5つ星がつけられなかったのかと言うと、
路面を見てもわからないような微妙な凹凸の吸収ができてなかったから。
ある程度の大きさの凸凹になると、かなり優秀にその衝撃を吸収
してくれるのだが、サスが明確にストロークするほどではない
微妙な凹凸は苦手なようだ。
なので、そういう所を走ると、微妙にピクピクとした振動が
伝わってきて、少々気色悪い。
とはいえ、電子制御を使っていないサスペンションとしては
驚くほど幅広い衝撃に対して対応できており、かなり優秀な
出来栄えだと評価できる。
【居住性】・・・★★★★☆
今ドキのクルマはどれもけっこう室内は広いので、正直、
特に広いとは感じなかった。
それどころか、後席に関しては、先代フーガよりも若干狭く
なったような気が。。。
しかし、開発陣のコメントを見る限り、室内空間は先代と同等とのこと。
たぶんシートの座面の大きさの違いとか、後席が先代フーガに比べて
少し前席よりも高めの位置に座らせるような感じのシートセッティングに
なっている感じなので、その絡みで前席シートとヒザ元の間の距離が
若干狭く見えるのかもしれない。
そんなわけで、後席に座った時の感じが、なんか少し新鮮な感じ。
少し視点が高いというか、前席を若干見下ろすような感じの視界になる。
悪くはないが、包まれ感が少し薄らいだ感じがするので、俺としては
先代フーガの方が良かったと思う。
ただ、人によってはこの方が開放感があっていいと感じるかもしれない。
まぁそのへんは好みの問題か。
いずれにせよ、身長180cmくらいのおっさんが4人乗っても、
窮屈ではないくらいの広さはあると思う。
【静粛性】・・・★★★★☆
これも先代フーガより格段に静かになった!
7速ATが低回転域でポンポンとシフトアップしていくので、
通常の走行ではあまり回転数が上がらないことも、静粛性の向上に
効いているのだろう。
踏み込んでエンジンの回転数を上げていったときの音の聞こえ方も、
先代フーガよりはかなりおとなしい感じになっていて、
ようやく高級車らしい静粛性のレベルにたどりついた感じ。
ただ、先にも書いた通り、エンジンの音に重厚感がないのが残念。
おとなしくなりすぎてしまった感じ、と言ったらいいのだろうか、
回転数を上げていった時の音が、若干ながら電気モーターっぽい感じ
というか、「薄い」感じの音がする。
エンジン音が静かになった分、やはりロードノイズは気になる。
もちろん許容の範囲内ではあるが。
フーガはいつも少しスポーツ性能寄りのタイヤを標準で履くので、
レグノとかデシベルとかにタイヤを交換すれば、多少ロードノイズが
改善する余地はあるだろう。
【内装質感】・・・★★★★★
これは素晴らしい!
500万以下で買えるクルマの中では最高レベルの質感になったと思う。
特筆すべきは、ダッシュボードやドアのインパネまわりに使われている
ソフトパッド、これがいい!
その柔らかさはこれまでのクルマ(他社含めて)とは別次元の域だ。
指で押したときのヘコみのストロークが大きくて、実に良い感触。
木目調パネルは本木目ではないが、かなりいい感じの色合いと模様で、
質感は十分に出ている、と、俺は思う。
これだけの雰囲気が演出できているならば、本木目にこだわる必要は
特にないかと。
センターコンソールの肘置き部分の合皮も、先代フーガよりも
よりなめらかで柔らかな感触のものとなった。
合皮とはいえ十分な質感だ。
標準のシートが、これまた標準らしからぬ、なかなかの質感。
座面と背もたれ部分は織物だが、サイドのサポートの部分は合皮で、
それなりに質感がある。
これなら、本革シート派の人の中でも、わざわざオプションで
本革シートにしなくてもいいや、と思う人も出てくるのではないかと。
スイッチボタン類の質感も良く、押し心地の感触もいい感じ。
どのスイッチを触ってみても、その質感や感触に手抜きがない。
特にパワーウインドウのスイッチの質感(特に表面の仕上げ)は、
先代フーガと比べて大幅に向上している。
オプションの「プレミアムインテリアパッケージ」を選択すれば、
銀粉本木目パネルになったりセミアニリン本革になったりとか、
さらなる上質感を得ることもできるが、俺個人の感想としては
標準のままでもかなり十分な質感だと思う。
【装備】・・・★★★★☆
かなりの充実装備!
このクラスのクルマの2.5リッターモデルというのは、
いわゆる「廉価版」であることが多く、装備の多くが標準装備から
省かれることがよくある。
しかし、今回のフーガは、2.5リッターモデルでも
3.7リッターモデルでも、まったく同じ標準装備内容となっている。
これは長年、俺が待ち望んでいたクルマのグレード設定の、
あるべき姿である。
(廉価版としては、250GT Aパッケージというのが別に用意されている)
ちょっと感動の装備としては、フォレストエアコン。
アロマディフューザーによる香りの演出ばかりが注目されがちな
この装備だが、俺としてはこのエアコンの機能の一部である、
・におい、排出ガス検知式 内外気自動切換え機構
・湿度制御機能
に、むしろ注目したい。
内気循環と外気導入って、手動で換えるの、けっこう面倒ですよね。
自動で、しかも空気がキレイな時だけ外気導入にしてくれるのは
非常にありがたい。
そして、湿度制御機能は、エアコン動作時にありがちな空気の
乾燥のし過ぎを防止してくれる。
さらには、窓のくもりを感知して、自動でデフロスターを
動作させるという、ありがたい機能。
これでもう、窓が曇っても、滅多に押さないデフロスターボタンを
探して押す必要がなくなる、というわけだ。
これはなかなか画期的な装備だと思う。
上級セダンならぜひ欲しい装備、
「パーソナルドライビングポジションメモリーシステム」
も、もちろん装備している。
この機能は、シートやハンドル位置だけでなく、ドアミラーの角度や
ナビやオーディオの設定、エアコンの設定までも一緒に
メモリーしてくれる。
このように、2.5リッターでも充実装備の今回のフーガだが、
それでも5つ星をつけるわけにはいかない。
というのも、装備の「詰め」が甘いからだ。
後席のカップホルダーは、相変わらず肘置きのフタを全開にしないと
使えないという使い勝手の悪さ。
セド・グロ(Y34)時代から脈々と受け継がれる最悪な伝統の1つだ。
防眩式ルームミラーは、いまだに手動。
イマドキのこのクラスのクルマなら、もう自動にすべきでしょう。
あと、先代フーガでは、助手席の背もたれのサイドに
パワーシートのボタンが付いていたのだが、なぜかこれが
新型では無くなってしまった。
あれ、運転席から調節してあげられて、すごく便利だったのに。。。
と、まぁ日産らしいと言ったら失礼かもしれないが、いつもどこか
詰めが甘いところがあるのだが、総じて言えば、値段から考えると
装備は充実していると言える。
【カーステ音質】・・・-----
これはチェックしなかった。
というのも、日産車の標準装備のオーディオには全く期待していないから。
日産車を買うならオーディオはオプション必須、これ(俺の)常識。
先代フーガのオプション、BOSEサラウンドサウンドシステムが
非常に良かった(5つ星評価)ので、新型を買うとしたら
やはりそのオプションを付けるつもりなので。
今回のBOSEサラウンドサウンドシステムは、先代フーガよりも
さらにスピーカーの数が増えて、16スピーカーとなっている。
まぁ音質の良さはスピーカーの数で決まるものではないが、
大きく期待を裏切られることはないだろうと思っている。
【総評】・・・★★★★☆
かなり素晴らしい出来栄えのクルマと言える。
コストパフォーマンスも含めて考えると、現時点で最高のクルマだと思う。
ただし、じゃあ買うかどうかと言われると、先にも書いた通り、
エンジン音の重厚感の無さ、これがどうにも引っかかる。
あの音は、フーガの雰囲気には合わないと思うから。
妥協して買う価格帯ではないと思うだけに、ちょっと手を出しづらいかな。
まぁでも、エンジン音に関しては個人の好みの問題だと思うので、
あの音が気に入る人であれば、このクルマは最高の選択肢だと
自信を持って言える、それくらいの出来栄えだ。
そんなわけで、次は3.7リッターのVVELエンジンを搭載した、
370GTの試乗をしてみたいと思う。
エンジン音の課題をクリアしてくれるといいのだが。。。(-_-)
→ フーガ関連商品
★新車への買い替えで損しないために、 知っておくべきたった1つの事★
★目次リンク
→ 試乗記の目次
http://aboutcars.blog89.fc2.com/blog-entry-6.html【試乗記】 日産 フーガ 250GT
テーマ:インプレッション - ジャンル:車・バイク
|