型式 | DBA-GH5FP |
排気量 | 2.5リッター |
最高出力 | 170ps/6000rpm |
最大トルク | 23.0kgm/4000rpm |
車両本体価格 | 250万円(税込) |
試乗日 | 2008年2月2日 |
1月にフルモデルチェンジしたばかりのアテンザに試乗した。
以下に、率直なインプレッションを述べる。
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【動力性能】・・・★★★☆☆
特に感動するような、強い印象は受けなかった。
エンジンスペックは、馬力、トルク共に2.5リッターの割にはショボい
ということは事前にHPでチェックしてわかっていたが、
最近のクルマはスペックから受ける印象以上によく走るというのを
試乗のたびに痛感していたので、ちょっと期待しすぎていた面も
あるかもしれない。
とはいえ、不足を感じる性能ではない。
急加速、上り坂での加速などを試したが、充分な加速性能を持っている。
ただ、アクセルワークに対するエンジンの回転レスポンスが少し重い
というか、軽快さが無かった。
加速時のエンジン音も濁った感じがあり、フリクション感を伴う感触。
走り自体は軽快なのだが、エンジンフィールという点で、スムーズさに
欠ける印象が残った。
今回の2.5リッターエンジンは新開発のエンジンということで、
もう少し熟成が必要なのかもしれない。
あと、動力性能とは関係ないのだが、左折する際にAピラーが邪魔!
俺がセッティングしたドライビングポジションが常識ハズレなポジション
だったのかどうか知らないが、とにかく俺が運転しやすい状態に
シート位置を合わせると、左折する際にAピラーが視界を遮ってしまい、
だいぶ身を前に乗り出さないと安全確認が出来なかった。
雨だったから水滴も邪魔になってたので、そのぶん余計にAピラーが
邪魔に感じただけかな?
晴れの日に乗ってたら気にならなかったかもしんない。
【乗り心地】・・・★★☆☆☆
まずは衝撃吸収性能について言うと、これは残念!
終始ゴツゴツした乗り心地だった。
アテンザ スポーツのほうだったらこんな感じで良いかもしれないが、
セダンはもっと柔らかくして欲しかった。
ショックに角があるわけではないのだが、ちょっとした路面の凸凹を
着実に拾ってる感じで、その微振動がほぼ全て伝わってくる印象。
良く言えば「路面のインフォメーションをドライバーに知らせる
安心感のある足回り」と言えなくもないが、さすがにここまで着実に
伝えてこられると乗っていて疲れる。
もっと足回りだけで吸収して、ボディの上下動を抑えるセッティングに
すべきだと思う。
次に衝撃の感触。これも残念。
衝撃の伝わり方が「薄い」というか、重厚感が無い。
ゴツい物が何かに乗り上げたときの感触と言うか、
ドコッ!っていうような感触が欲しかったのだが、
コトッ!って感じの感触だった。
車重が若干軽めなのが原因なのか、ボディの造りの問題なのか
わからないが、これまで試乗してきた様々な上級セダンたちと比べると、
明らかにチープな感触に感じた。値段が正直に出た印象。
開発陣が言うように、ひとクラス上のユーザーを取り込みたいと
考えるなら、こういう、走りとは無関係な「感触」というものに対しても
注意を払う必要がある。
他社の上級セダンを研究して、次回のフルモデルチェンジ、いや、
マイナーチェンジまでには「感触」の向上を図ってもらいたい。
【居住性】・・・★★★☆☆
特に広くは感じないが、まぁ車体サイズからすれば妥当というか、
こんなもんでしょう。
車高は低いが、頭上方向の圧迫感を感じることはなかった。
ハンドルも手動ながらチルト&テレスコ調整できるので、
ベストなドライビングポジションに合わせることができた。
以前のクルマなら、この価格帯のクルマでテレスコ調整できるクルマは
ほとんど無かったと思うので、ホント最近のクルマは
コストパフォーマンスが高い。
後席については雨も降ってたし、わざわざ座らなかった。
とりあえず見た感じでは、ヒザ元については充分な余裕がありそう
だったので、大人4人が乗っても窮屈さは感じないと思われる。
シートのサイズは少し小ぶりに感じたが、座り心地は絶妙とは
言わないまでも、悪くない。
よほどの巨漢でない限り問題ないでしょう。
【静粛性】・・・★★★☆☆
HPで静粛性の高さがアピールされていただけに、これも期待が
大きすぎたか、思ったほど良くは感じなかった。
まぁ現愛車のフーガ号(2005年式 350GT)と同等くらいかと。
また、HPではさらに、「走りの楽しさを演出するサウンドは、
気持ちよく耳に伝わるように・・・」と書かれていたのだが、
加速時のエンジンサウンドも、お世辞にも気持ちのいい音ではなかった。
フリクション感を伴う濁った音で、かと言って重厚感があるわけでもない
という、誉められた音質ではないという印象。
このへんはむしろ歴史を刻む2リッターモデルの方が
洗練されているのかもしれない。
ロードノイズに関しては今日は雨で路面が濡れていたこともあり、
あまり参考にならないので特に注意してなかった。
静粛性が残念だっただけでなく、さらに言わせてもらうと、
定速巡航時の質感が全く感じられなかった。
最近のクルマは定速巡航時にはエンジン音はほとんど聞こえないが、
何となく車内に漂う走行ノイズというのは必ずある。
上級セダンになると、なぜかこの「何となく漂うノイズ」に
質感があるのだが、今回のアテンザにはそれが無かった。
この質感は何とも表現しにくいのだが、「車外との隔たり感」と言えば
わかるだろうか?
何となくだが、「保護された空間が移動している」という感触、
これがあるクルマは、定速巡航しているだけで何とも表現しがたい
質感があり、運転していて安心感があるのですごくリラックスできるのだ。
このへんも他社の上級セダンを研究して、ぜひとも向上させて欲しい部分だ。
近年のマツダは以前のマツダ(俺が高校生くらいの頃)とは大きく変貌し、
スポーティかつ斬新なデザインで、実に個性的な感じがしていいなぁと
思っていたのだが、少なからず失った(あるいは捨ててしまった)ノウハウも
あるのかもしれない。
【内装質感】・・・★★★☆☆
惜しい!実に惜しい!250万円という値段を考えると、
かなり頑張った内装だと思う。
ダッシュボード、ドアの内張り、メーターパネル、センターの肘置き、
これらは合格点。
しかし!インパネの下のほう、あまり目の行かない所ではあるが、
出た、、、、、定番のカチコチだ。。。
せっかく上部とドアパネルはソフトパッドを使ってるのに、あと少しだけ
同じ材質を使えばいいだけなのに、なぜそのちょっとをケチるかなぁ。。。
まぁ普通は目につかない部分と言われればそうなのだが。(-_-)
あと、肘置き部分を開けると収納になっているわけだが、これも残念。
せっかく肘置きは合成皮革(と思う)を使って上質感があるのに、
開けるとバリバリのプラスチックむき出しというのはちょっと。。。
それと、センター部の下のほうに吸殻入れのフタがあるのだが、
これもテカテカのプラスチックで、まぁそこは目をつぶるとしても、
開けるときの感触が最悪。
下から上にめくるようにしてフタを開けるのだが、ペコッ!って感じの
バネで開いて、質感の演出も何もあったもんじゃない。
こんなやっつけな感じでつけるくらいなら、こんな吸殻入れ、
無い方がマシだよ。。。
と、いろいろ不満も書いたが、それは内装が相当頑張っているからこそ、
あと一歩頑張ればという惜しさがそうさせたのであって、決して内装の
レベルが低いわけではない。
いい面も書こう。
驚かされたのは、本革シートが標準装備だったこと。
確かにあんまり上質な革ではないものの、本革シート標準装備で
250万円とは安い!
あのやっつけな吸殻入れさえ目をつぶれば、価格破壊と言っていいくらい
質感のある内装に仕上がっていると思う。
【装備】・・・★★★☆☆
最近はどの新型車も装備が充実しているため、それらと比べて
特に特筆するような装備が付いているわけではないが、
本革シート標準で、当然ながらシートヒータも標準装備。
さらには、クルーズコントロール(俺は使わないが)や
シートポジションメモリーなど、およそ他社の上級セダンが備える装備は
全て備えている感じ。
そして、うれしいことにオプションにBOSEサウンドシステムも
用意されている。
先日試乗したインスパイアには、シートポジションメモリーも
BOSEのオプションも設定が無かったことを考えると、
装備面ではインスパイアを凌いでいると言っていい。
まさに不満の無いレベルの装備内容だ。
【カーステ音質】・・・★★★★☆
今日試乗したクルマには、オプションのBOSEサウンドシステムが
装備されていた。
さっそく俺の持ち込んだCDをかけてみたが、期待を裏切らない、
質感のある音が再生された。
低音から高音までクリアに表現されている。
5つ星にしなかったのは、音場演出の多彩さにおいては、
現愛車フーガ号(2005年式 350GT)に搭載されているBOSEの方が
上だったので、そこを5つ星に基準を置くと4つ星にせざるを
得なかっただけ。
音質そのものはまさに5つ星レベルだ。
俺がもしこのクルマを買うとしたら、このBOSEのオプションは
絶対に付けるが、驚いたのがこのオプションの価格!
なんとたった約7万円ほどなのだ!
俺のフーガ号のBOSEのオプションは約20万円ほどするのに!
まぁスピーカーの数が、アテンザは8スピーカー、
フーガ号では14スピーカーという差はあるにしても、
7万円とは実にお得な価格設定だ。
これを付けない手はないだろう。
【総評】・・・★★☆☆☆
装備面では及第点だったし、価格を考えるとかなりお買い得な
クルマだと思うが、買い替え候補としてはちょっと無いかな、という感じ。
というのも、一番のネックは乗り心地の悪さ。
俺がクルマを買い替えるということは、現愛車フーガ号(2005年式 350GT)
の弱点である、
・静粛性の悪さ
・乗り心地の堅さ
が改善されることを期待しての買い替えとなるわけなので、
この点でフーガ号を超えてくれないことには買い替える理由が無いわけだ。
そういう意味では、まだ前回試乗したインスパイアの方が、
候補としてはアリとなる。
ちなみに、250万円というのはベース車両なので、
これにHDDナビを付けると約280万円になってしまうが、
それでも装備の充実度に対してかなりお買い得な価格設定であることに
変わりはない。
それだけに、もうちょっとフィーリング面での上質感の演出スキルを
上げてくれれば、また候補になり得るかも。
というわけで、早々にテコ入れを期待したい。
★新車への買い替えで損しないために、 知っておくべきたった1つの事★
★目次リンク
→ 試乗記の目次
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テーマ:インプレッション - ジャンル:車・バイク
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