型式 | DBA-FC26 |
排気量 | 2.0リッター |
最高出力 | 147ps/5600rpm |
最大トルク | 21.4kgm/4400rpm |
車両本体価格 | 249.9万円(税込) |
試乗日 | 2010年12月12日 |
11月にフルモデルチェンジしたばかりのセレナに試乗した。
以下に、率直なインプレッションを述べる。
【動力性能】・・・★★☆☆☆
結論から言うと、必要にして充分と思われる動力性能。
特に発進加速は、スペックから想像していた以上の力強さだった。
ただ、今回のセレナ、試乗の順番待ちが出るほどの人気で、
時間的な余裕が無く、遠くの急坂まで行くことができなかったため、
主に平地のみでの試乗となってしまった。
そのため、坂道での加速性能に関しては正直わからない。
とりあえず、平地で急加速させてみた感じで言わせてもらうと、
「熱い走り」ができるほどの動力性能は無さそうだ。
もちろん、そんな走り方をするためのクルマではないのだから、
当り前っちゃあ当り前だが。
発進加速が良いため、乗り始めは「意外と走るジャン」と
感じるのだが、中速域からのレスポンスや伸びは
発進時に感じた印象からすると少々「もっさり」した感じだ。
なので、強力な加速力は期待しない方がいい。
あと、今回から搭載された機能、「アイドリングストップ」。
ブレーキを離すとすぐにエンジンが再始動するのだが、
そのタイムラグは非常に短く、始動時のショックも小さくて
想像していたほどの不快感はなかった。
それでもやはり、信号が多い街中では少々ウザく感じるかも。
【乗り心地】・・・★★☆☆☆
正直、固い。しかもいちいちよく揺れる。
車高が高いのでこのへんは仕方のないところかと。
伝わってくるショックのカドはそこそこ取れているので、
耐え難いような固さではまったくないのだが、小さな凸凹から
大きな凸凹まで、着実にショックを伝えてくる感じなので、
快適な乗り心地とは言えない。
今回乗ったのはハイウェイスターということで、通常より少し
固めのセッティングとのことなので、もしこれに乗ってみて
若干固いと感じるようなら、20Xとか20Gのグレードを試してみると
ちょうどいいのかも。
あと、あまりこの手のタイプのクルマでこだわる部分では
ないのかもしれないが、伝わってくる衝撃の感触や、ショックを
受けたときに足回りから発する音などには、「質感」はほぼ皆無だ。
【居住性】・・・★★★★★
やはりセダン乗りがミニバンに乗って、まず感じるのが
「広い!」という点だろう。
頭上の余裕もたっぷりあるし、この絶対的な空間の広さから
得られる解放感は、ミニバンならではの最大のメリットと言える。
また、ファミリーでの使用を想定した数々のユーティリティ装備の
使い勝手は、実によく考えられて作られていると感じる。
止まっている状態でしか確認できていないので、揺れたときの
ホールド感などはわからないが、セカンドシートはゆとりがあって
快適に座れる。
一番後ろのサードシートだが、ここは正直、子供でないとキツイ。
前後間隔はセカンドシートの位置の調整しだいでどうにでもなるのだが、
背もたれが極端に小さいので、この席にリラックスして座れるのは
小さいお子ちゃまくらいのモンだろう。
とりあえず、俺の身長(180cm)でサードシートはあり得ない。
まぁそれでも、「ちょっとそこまで」とかなら我慢できる範疇ではあるが。
【静粛性】・・・★★☆☆☆
ゼロ発進からの加速時の音がかなり耳障りで、そこが少し気になった。
ある程度の速度に達するとかなり静かになり、音質もマイルドに
なるだけに残念。
また、ゼロ発進時に限らず、急加速のために回転数を上げたときも、
同様に耳障りなエンジン音を発する。
安定走行に移った時との音の差が激しすぎるため、余計に加速時の音が
耳障りに感じるようだ。
俺の友人に先代セレナに乗ってる奴がいるのだが、それに乗せて
もらったときはエンジン音がうるさいという印象は無かったので、
隣に乗っていた営業マンに、
「なんか今回のセレナ、前のより加速時の音、
うるさくなってないですか?」
と聞いてみたら、その営業マンもそのように感じていた様子。
今回のセレナに搭載されているエンジン(MR20DD)は、
シリンダー内に燃料を直接噴射する直噴エンジン。
俺も以前、直噴エンジンを積んだ日産車に乗っていたのだが、
そのときの印象と今回のセレナでの印象を含めて言わせてもらうと、
日産はあまり直噴エンジンは得意ではないような気が。。。
ある程度スピードが乗って安定走行している分にはまったく
問題ないのだが、加速時の挙動にクセがあるような気がする。
まぁそれはあくまでも俺の主観だが。
まぁそんなわけで、のんびりスタート、まったり走行で走る限りは
静粛性はなかなかのものなので、このクルマはやはり大人しく走るのが
正しい乗り方なのかな、といったところ。
【内装質感】・・・★☆☆☆☆
どこを触っても「カチコチ」で、質感は全く感じられない。
試乗時はもう日が暮れていたのだが、車内の照明の雰囲気もイマ一つ。
「えっ!」と思ったのが、シフトレバーのところの、DとかRとかの
表示の部分が光らないこと。
なので、シフトレバーを動かすとき今どのレンジにシフトレバーが
入ってるのか、手元を見ててもわからない。
まぁメーターパネルに表示されるので、少し慣れれば何の問題もないと
思うのだが、やはり手元を見てもわかるようにしてほしい。
メーターパネルの速度計はデジタル表示なのだが、やはりメーターは
アナログの方が直感的に見やすいし、質感の演出にも有利ではないかと
個人的には感じる。
最悪だと思ったのは回転計。これがメーター風の円形のバー表示という、
一風変わった感じになっているのだが、正直、最高に見にくい。
しかも「0」の位置が変なところにあるので、ますますわかりにくい。
恐らくデザイン的に、右側に表示している「ECOメーター」との対称性を
重視したのだと思われるが、実にくだらないところにこだわったものだ。
で、先に少し触れたが、エコドライブナビゲーターとやらと、
アイドリングストップタイマーの機能を搭載したECOメーター。
これの見方がどうもわかりにくい。
オーナー以外の人間が見ても、何を表示してるのか、どう見るのかは、
まず直感的にはわからないだろう。
パッと一瞬で見て一瞬で読み取れる、それがクルマに搭載される
メーターにとって重要な要素だと思うので、このようなわかりにくい
メーターは、クルマに搭載されるメーターとしては失格だと思う。
と、ちょっと「質感」から話がそれてしまったが、とにかく質感を
感じる箇所がどこにも無いのだ。
セダンでこのクルマと同じ値段を出せば、もっと質感のあるクルマが
買えるので、要するに、コストをかけている部分が違うわけであって、
このクラスのミニバンに質感を求めるのは、そもそもの間違いという
ところだろう。
【装備】・・・★☆☆☆☆
先に言っておかなければならないのは、ここでいう装備の充実度では、
ユーティリティ面での装備を評価の対象としていないという点。
つまり、ミニバンにとっては不利な項目だ。
スライドドアだとか、豊富な収納だとか、シートアレンジだとかが、
まったく評価の対象になっていないことを、あらかじめご理解頂きたい。
という視点で見たとき、正直、俺が魅力を感じるような装備は
あまり見当たらない。
それどころか、イマドキの新型車にもかかわらず、標準装備の
ヘッドランプがいまだにハロゲンとは残念至極。
その一方で、もうじき装備が義務付けられることになった
横滑り防止装置、日産で言うところの「VDC」が標準装備されている。
よほどへボい運転をするか、よほどムチャな運転をしない限り
この機能が作動することはないので、正直、俺にとっては
どうでもいい装備だ。
さらには、いわゆる一般的には「クルーズコントロール」と
呼ばれている装備、ASCD(オートスピードコントロール装置)も
標準装備されている。
アクセル踏まなくても設定した速度で勝手に走る、あれね。
俺の使わない、無用な装備の1つだ。
「20G」のグレードを選択すると、エアコンが上等になったり
内装がちょっと上等になったりするようだが、基本的には
標準装備だけの状態では、イマドキのクルマとしてはかなり貧弱な
装備内容に思える。
どうやら、標準装備はなるべく抑えて、購入者の希望に応じて
オプションで装備を充実させるというのが、この車種の販売における
基本スタイルなのかな、という感じ。
あ、あと、アイドリングストップは、今回のセレナの目玉装備の
1つなんだろうと思うのだが、俺はこの手の装備にはまったく
興味がないし、エコなんてどうでもいいので、これも装備の充実度の
評価対象としていない。あしからず。
【カーステ音質】・・・★★★☆☆
俺がチェックした試乗車には、メーカーオプションの
カーウイングスナビゲーションシステム(6スピーカー)が搭載
されていた。
いつも試乗で使ってる音質チェック用のCDをかけてみたところ、
思ったよりまともな音が聴こえた。
あんまり期待してなかったせいもあるかもしれないが。(^_^;
とりあえず、低域から高域まで、特にここが弱いという領域は
特に感じられなかった。
もちろん感動するような高音質ではなかったが、運転席で聴く限りは、
まぁ許容範囲の音質でしょう。
ただし、カーウイングスナビゲーションシステムのオプションを
付けなかった場合は4スピーカーとなるので、その場合の音が
どうなのかはわからない。
【総評】・・・★★☆☆☆
便利に使えそうなクルマであることは間違いない。
家族揃っての買い物やレジャーにおける移動手段としては、
ユーティリティ面で非常に優れたクルマであることは認めよう。
しかし、「走り」を楽しみたいとか、「質感」を求める人など、
クルマでの移動を単なる移動時間ではなく、クルマで過ごす時間
そのものを楽しみたいという人には、物足りないクルマだろうと思う。
俺のこだわるポイントと、このクルマがこだわったポイントが
全く異なるため、俺の購入対象にはなり得ないクルマだが、
使い勝手の良い「移動のための道具」を求める人には魅力のある
クルマだと思う。
★新車への買い替えで損しないために、 知っておくべきたった1つの事★
★目次リンク
→ 試乗記の目次
http://aboutcars.blog89.fc2.com/blog-entry-16.html【試乗記】 日産 セレナ ハイウェイスター(2WD)
テーマ:インプレッション - ジャンル:車・バイク
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